ソプラノサックスと音程

以前質問いただいた内容からです。

「私はアルトサックスを7年吹いています、最近念願のソプラノサックスを手に入れました。しかし楽器がすごく音痴になってしまいます。どうすればいいでしょうか・・」

うちの生徒さんのなかにもソプラノサックスに憧れてソプラノから始めた生徒さんが何人もいます。だいだいの意見としては まずはテナーサックスとかアルトサックスでサックスに慣れてからソプラノサックスに手をだすほうがいい と言われていますけどね。
私もそれには一理あるとは思っていたのですが、アルトサックス テナーサックス が吹けるからといってソプラノサックスが吹けるわけでもない・・・というところもあるんです。

サックス族 のなかでは テナーとソプラノ アルトとソプラノ という持ち替えをするひとは非常に多いと思います。そして、多くの人が「ソプラノサックスは音痴」といいます。しかしながら ソプラノサックス本来 というか サックス 広くいうと管楽器は、奏者が音程にたいしてセンシティブにならないと『音痴な楽器』なわけです。このように奏者がいかに音程に気を配って、なおかつ 歌 を奏でるかという事が非常に重要になってきます。

とはいえ、現代のサックスは昔の楽器に比べて格段に音程があわせやすくなりました。
ヤナギサワのソプラノサックスなどは驚異的に音程がいいですからね。
それでも、やっぱり奏者が音程に関してセンシティブではない場合の演奏は音痴になってしまいます。

またサックス族で、高音域のソプラノサックスは、チューナーと単位 CENTで説明したように
少しのアンプッシャーの違いで、大きく音程が違ってきます。
アルトやテナーの感覚のまま、アンプッシャーを締めたり・弛緩すると、音程はフラフラになっちゃいます。

ソプラノサックスは、マウスピースが小さい分、アンブッシャの筋肉の使い方が、テナーサックス・アルトサックスにくらべて、難しくなるのは間違いないのですが、ソプラノサックス特有の音痴の原因としておおいのが

  • 楽器の支え(支持)が間違っている。
  • 口からの楽器本体の角度が悪い、クラリネットみたいに吹いている。
  • リードとマウスピースのセッティング(持ち替えする人は、持ち替えた時のそれぞれのマウスピースやリードの相性とか)
  • 息を必要以上にいれようとしている

特に多いのが
■楽器の支え(支持)が間違っている。
■息を必要以上にいれようとしている
。。です。

楽器の支え 角度 セッティング は練習で克服すべき部分ですが、繊細なブレスコントロール だけは練習というか 意識 を変えないといい演奏は出来ないと思います。最近のソプラノサックスは息をいれたら、入れるだけ鳴ってくれますが、実際の演奏において、ソプラノサックスはプロの奏者もそんなに大きな音で吹いてるわけではないんです。ソプラノサックスの勝負所は pp~ppp の繊細な演奏をいかにコントロールするかだと思います。
また、タンギングもソプラノは非常に繊細かつ丁寧にする必要があります。

さらに、低音域の演奏にはコツが必要となってきます、低音域は
息をそのままいれちゃうと ビェ~~っと いうか ガサツな音色になってしまいます。低音域は唇と顎のコントロールが必要になりますがこれはちょっと文章では書けないんです。。。すんません。。

わたしはむかし オーボエ の曲をコピーしてました。
好きなところでは ボロディン作曲 イーゴリ公 の第2幕 ダッタン人の踊り  の有名なオーボエとイングリッシュホーンの旋律とかラベル作曲 ボレロ  とかもいいですね、これには実際にテナーサックスのソロの後にソプラノサックスのソロが続きます。

まずはメロディー楽器として、全ての音域で繊細にかつ音楽的に
メロディーを奏でる練習をしてみましょう。
そのうえで、きっちりとチューナーを使い、正しい音程感覚を培ってくださいね。

まあ、ここまで書いといてなんですが、マウスピースを変更してみると、音程が取りやすくなることが多いのも事実でして・・。ソプラノサックスのマウスピース製造はとても難しいと聞いたことがあります。たしかに、マウスピース内部の、高音部をつかさどる部分と、低音部をつかさどる部分が近接なので、モデルによって音程が1番よく合うくわえの深さも違いますし。また、低音部のレ・ミあたりがガラガラいって鳴りにくい物もあったりします。
これは、ソプラノサックスにとって、というか、筒状の管楽器にとって(受け持っている音域が高い管楽器は顕著ですね)、マウスピースを挿す深さは重要でして、全ての音域を許容範囲内の音程で鳴らすためには、抜き過ぎても、差し過ぎてもだめなんですよね。ですから、マウスピース自体の容積も重要になっては来ると思います・・。やたらかんで音を出している人は、必然的にチューニングをする際にマウスピースを抜いているでしょうから、本来の設計範囲より抜いてしまっている場合、それぞれの音程は合いません。逆も然(しか)りです。
うまく伝えられませんが(^-^; ソプラノサックスは、経験から得ることが多いのも事実なんです・・。


2004年に発表したMASAXソプラノサックスメインのアルバムより よかったら聞いてください。
再生リストはコチラ

サックス教室 フイテマス 藤本匡光
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