都内の大きな通りを一本入ったすぐ脇に、ひっそりと佇む小さな神社があります。 車が絶え間なく行き交う賑やかな場所なのに、そこだけポツンと取り残されたような、少し寂しげな雰囲気。
普段は神主さんもいなくて、ひっそりとしています。 でも、以前はそこに立派な「ご神木」が一本立っていたんです。 不思議な力がある「見える」知人は、その木を見上げてこう言っていました。 「あのご神木のてっぺんに、神様がちゃんとおられるよ」
ところが昨年、その木が倒れる危険があるということで、伐採されることになりました。 後日、その場所を訪れた知人は、寂しそうにこう言ったんです。 「……もう、誰もいなくなっちゃった」
神様もどこかへ行ってしまったのかな、なんて考えていた今年の年明け。 ふとその神社の前を通りかかると、地元の方が初詣に来て、一生懸命に手を合わせていました。
都会の喧騒のすぐそばで、主(ぬし)を失った場所と、変わらずに祈りを捧げる人々。 その光景を見て、なんだかとても複雑な気持ちになった冬の日のお話でした。

