とあるテナーサックスの入手経緯 その③ 最終話



そんなこんなで、私はセルマーのテナーmark7を買い与えられたわけですが、それは、いつまで続くかしれない[そのひとバンド]への参加強制とセットになります・・。

Bassを渡されたT店長といえば、店に来ては事務所に籠もって[そのひと]から強制的に与えられたbassを練習していました。その姿は決して楽しそうではなくて、悲壮感さえ漂っていました。

それから2週間も経たない頃でしょうか[そのひとバンド]の招集がかかりました・・


そのスロット店は年中無休で朝10時~夜22時までの営業で、閉店後なんだかんだ後片付けや掃除などの閉店作業が終わると23時を回るわけで・・・『いつスタジオに入るねん・・・』と思っていましたら

その人
その人

「●●駅にあるスタジオで『深夜スタジオパック』というのを見つけたよ。●日の夜中にスタジオ予約したから、この曲とこの曲練習しといて」

『深夜スタジオパック』って夜中6時間くらいのスタジオカンヅメ練習やないかい・・おいおい・・・・翌日も9時には店に来て10時開店なのに・・・・と、また心で激しく突っ込みましたが・・・T店長も私も「わかりました!!楽しみです」と心無い返事したような・・^^; 

課題曲は2曲ほどでしたが、両方ベンチャーズの曲で、全くベースを弾けないT店長にとっては地獄です・・で、さらに例の元演歌歌手のダブルスーツオジサンは何を担当するんだろう・・・肝心のギターは居ないままだし・・・


いよいよ『深夜スタジオパック』当日、閉店間際に[そのひと]が例の派手目な中年女性を助手席に乗せてやってきました。閉店作業修了後、T店長のベースと私のサックスをキャデラックの後部トランクに載せて、T店長・私は後部座席に乗り込み、5駅ほど離れた繁華街にあるリハーサルスタジオに向かいました。元演歌歌手のダブルスーツオジサンは現地集合とのことでした。

スタジオに到着してスタジオに入ると[そのひと]も何十年かブリのスタジオみたいでしたし、T店長はBass渡されてまだ2週間くらいですから、スタジオはおろかベースアンプに繋げるのも初めてだし・・どうなんねん・・

そうこうしていると元演歌歌手のダブルスーツオジサンが来まして、わたしが「一応マイク借りておきました」というと、小声で「歌うところ無いしなぁ・・」と、ごもっともな返答が・・ 

元演歌歌手のダブルスーツオジサンと[そのひと]の関係性を遠巻きに観察していると、どうやら例にもれず[そのひと]のことを「しゃ しゃちょぅ~~」という感じで接していて、[そのひと]と派手な中年女性を除いたメンバー3人は、[そのひと]を頂点とした食物連鎖の川下みたいな立ち位置でした。
 ちなみに、[そのひと]がその元演歌歌手のダブルスーツオジサンに「なにか歌ってきかせてやんな」というと、アカペラで演歌調の曲を歌いだしましたが、めちゃめちゃ歌が上手くて『元演歌歌手は伊達ではないなぁ』とびっくりしました。 まぁ・・・でも、ベンチャーズのコピーバンドに歌パートはないけどね・・・

[そのひと]がセッティング終わってドラムを叩き始めたのですが・・・・・・言葉を選ばずに言うと「超下手」・・・・・でした。ただ[そのひと]は久しぶりでとても楽しいそうではありました。その横でT店長は見たこと無いような蒼白な顔でbassぶら下げたままマゴマゴして、何がなんだか分からない音だしてるし・・それを元演歌歌手のダブルスーツオジサン・わたし・派手な中年女性が傍観している・・というカオス状態・・・

[そのひと]も自分のことで精一杯なのか、各々個人練習みたいな感じで時間が過ぎていきました。

けっこう時間が過ぎた頃に[そのひと]が「曲をやってみよう」と言い、カウントがはじまりました。元演歌歌手のダブルスーツオジサンもマイクを握って、何をするのかと思ったらギターのメロを声で表現しはじめて・・そらもうご想像の通り・・というか想像を遥かに超えた、何がなんだかよく分からない音の洪水になりました。T店長は何も引けませんから、ただただ蒼白な顔でbassぶら下げて立ち尽くしてましたが[そのひと]は終始楽しそうで、接待バンド的にはそれでも良かったようです・・。
そんなカオスな時間は休憩をはさみながら何度か押し寄せて、あっという間の朝を迎えたように思います。しかし、今後これが定期的に開催されるとなると、めちゃくちゃ憂鬱になりました・・次の日の仕事シンドイし・・、他に参加していたバンドでも深夜練習あるし・・・・

しかし予想外に、それ以降[そのひと]が「スタジオに入ろう」と言うことは有りませんでした。なにか[そのひと]的に思うところが有ったのか、あの日だけで満足したのかは理由は定かではありませんけど。
まあ、T店長は、いつまたお声がかかるかとビクビクしながら、しばらくは事務所で『苦行練習』を続けてましたけどね。。


それから一年たたないくらいしたある日、私は一度しか会ったことのない、店の実質的出資者であるオーナーさん(和食料理店経営)が朝イチでお店に来られて、T店長および私達バイトを前に「お店を続けることが資金的に無理になりました、ほんとうにすみません」とおっしゃって、急遽そのまま閉店することになりました。
 正直、これを聞いたとき不思議でなりませんでした・・・
店は開店当初より多少客足は減ってはいましたが、経営的に設置台数あたりの台売上は十二分に上がっていたからです。月々の家賃や給料諸々を差し引いても赤字のはずはなかったのですよね・・・。ただ、唯一不明な支出といえば[そのひと]の取り分に関してでした・・・・・

 後にT店長から聞いて分かったことですが、オーナーは[そのひと]に誘われて、自身の仕事とは全く畑違いのスロット店の出店に出資をしたそうで、実質的な運営は[そのひと]に丸投げしていたそうです。
T店長は売上金と売上データを[そのひと]に渡し、その後[そのひと]は、そうとうな金額の[そのひと・マージン]を差し引いた『赤字』金額だけを日々オーナーに報告していたようです(もっと別のカラクリが会ったのかもしれませんけど)。まったく分からない業種に手を出した人の良いオーナーは「ずっと赤字が続いている」と[そのひと]から報告をうけていたようです。『赤字が続いている』と思っていたオーナーからも[そのひと]は「補填」と称して、さらにお金を引っ張っていたであろうことは容易に想像できます・・
あとでそれを知ったオーナーは法的に動いたと聞きましたが・・どんな結末を迎えたのかは知りません・・

そういえば、その日の少し前から[そのひと]は店にも顔をださなくなっていました。どうやら、そのまま姿をけしたそうです・・・。


[そのひと]はいったい誰だったのか、正体は分からないままでしたが、結局のところ最初に抱いた印象『ヤバそうな人』は正しかったようです・・。手元に『曰く付き楽器』は残りましたけど・・・結局、その曰く付き楽器はそれから一年も経たないうちに手放して別のテナーを買い直しました。

てか、閉店してからT店長に「少しお金貸してほしい」と言われて、10万円程貸したけど、そのままT店長にも逃げられたの思い出した😵


なんでこんな話してたんだっけ・・^^;

こんな、どうでもいい昔話を最後まで読んでいただいた方・・・すんませんです^^;

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