以下、個人的な意見であることを、先に書いておきます。
シグネイチャーモデルのマウスピースについてです。
シグネイチャーモデルのマウスピースというのは、簡単に説明すると、その名前を冠したミュージシャンが使っているのと同型のマウスピースということです。
シグネイチャーモデルは普通のマウスピースの価格とくらべると、3倍以上するものが多く、10万円を超えるものもあります。
憧れのサックス奏者のシグネイチャーモデルが販売されている場合は、だれしもそのマウスピースが欲しくなるのは当たり前です。
シグネイチャーモデルが発売されている奏者は、何十年ものサックス歴を経たうえで、現在そのマウスピースの形状(開きやバッフル具合)を使っているわけです。
なにが言いたいかといいますと、まだ歴の浅い方がシグネイチャーモデルを手にしても、本来そのマウスピースの持っている音は100%なりません・・。
まぁ、それは買った本人も分かっている事ではあるんですが、10万円近いマウスピースを手にすると、”それを使わないと勿体ない”という気持ちが邪魔をしてしまい、頑なに、しがみついてしまう傾向があります。
シグネイチャーモデルでは、たとえばティップ・オープニングが超広く・さらにハイバッフルである場合も多く、熟練したコントロールが必要になります。
ティップ・オープニングが広い場合、適切にコントロールすれば音程を扱う表現テクニックに幅がうまれますし、音量幅も稼ぐ事が可能です、更にハイバッフル方向ですと、高音域の出しやすさや音色の彩をコントロールできますし、さらにフラジオ音域での表現・コントロールの幅が広がるというメリットも生まれます。これは熟練したコントロールができてこその”メリット”です。
反対に、まだ扱うものが未熟な場合、全て”デメリット”方向に力が働いてしまいます。ティップ・オープニングが広いのにコントロールできないと、音程はフラフラで安定感がなくなり、音質もペラペラした軽薄な音色になり、無駄に大きな音量で吹けてしまうので、オーバーブローした雑な音がしたり・・、ハイバッフルもデメリットに振ると、リードミス多発・うるさいだけで音楽的な表現はどこえやら・・なんというか黒板を爪でひっかいたような、嫌な周波数も乗っていたりと・・。
なにが言いたいかといいますと
高いお金を出して、良いマウスピースを買ったのは、志として良い事だと思います!! しかし、それを自身が扱えるようになるまでは封印すべきです。それで練習を続けることは、ほとんどの場合、成果をあげるのに時間が余計にかかってしまいます。
シグネイチャーモデルのマウスピースというのは、マウスピースが使い手を選ぶじゃじゃ馬とでもいいますか・・。
マウスピースが「そろそろお前は俺を使ってもええ頃や、使いこなしてみろ」とお許しが出るまでは、段階を踏むことも必要ではないかなぁと思います。それまでは、大事に保管して封印する勇気も必要だと思います。
まあ、こんなこと書いている僕も、20代の頃サンボーン氏のシグネイチャーモデルのマウスピースを買った経験がありますが、扱いきれてなくて、なんだかひどい音色をまき散らしていましたよ😅