Aさんよりの質問です。
上のラ(G)を出すとネックの部分のオクターブキー(?)に空気が当たり「ザー」という音が出て非常に気になりました。楽器を調整に出してタンポも交換したのですが改善されず。
リペアーマン曰く、リード位置、マウスピースのセッティングで直るのでは?と言われたのですが…何か良い対処法があれば教えていただければと思います。
生徒さんにも習い始めの頃などこの症状がでる方が沢山おられます、結論から先に言うと日々の練習で解決していくということになりますね・・。
オクターブキーを押した G G# A のガラガラ音
この症状はサックスの場合オクターブキーを押した G G# A 辺りに
おこりやすいですね。これはサックスというか管楽器の仕組み上なりやすい
のです。
では なぜそういうことが起こってしまうか・・・ということです。
ちょっと振動数での説明となりますので、うまく伝えられるか
心配ですが・・
ガラガラ音の原因探求
まずここに穴の開いていない笛があるとします。
①
①の笛の長さを X とした場合に、笛をならすと
1HZの音がするとします。
※1HZとは波形でみるとこんな感じです。
グラフの横軸は時間です。これで1秒分です。
1HZとは1秒間に波形の山と谷それぞれ1回分の波形です。
この笛で1オクターブ上を出すにはどうすればいいか
といいますと、2つの方法があります。
①の笛は 1HZ の音をだすとすると そのオクターブ上の音は
2倍の周波数を出せればオクターブになります。
ですからこの例では 2HZ の音を出す方法です。
※2HZをグラフでみると
方法 その1
笛の長さを半分にする。
①の笛のながさを X とすると 1/2X すなわち
半分の長さの笛は2HZの音がでます。
②
これほど単純ではないのですが、トロンボーンを
イメージするといいかもですね、トロンボーンは管の長さを
変えられる楽器です。
方法 その2
真ん中に穴をあける。
③
真ん中に穴をあけると 管は穴があいたところまでの長さで
発生する周波数が決まります。サックスはこの方法を応用しています。
サックスの管体にはもともと沢山の穴があいてますよね、それを
閉じたり開けたりして管の長さを調節しているわけです。
ここまでいいですね?
さてサックスは③の方法でオクターブを出しているわけですが
もっと複雑な要素も加わってきますが 惑わすのでできるだけ単純に
説明します。
サックスにも ③ の方法を取るために オクターブキー があります
左手の親指で押すやつですね。このキーを押すと音によって2箇所の穴が
使い分けられます。
下の赤丸の方のキーは オクターブキーを押した
D~G#までで使われ、A以上は上の方が開きます。
本来③の考え方ですと、それぞれの管の長さの
真ん中に穴を開けるのがベストですが、そうすると
全ての音程にオクターブの穴が必要になります。
15個とかそれ以上のオクターブホールが必要になります。。。
親指のところにはその分のキーがついて・・・・
そうなると演奏できないですね 😊
そこでできるかぎり少ないホールで全てをカバーできるように2個のホールということになっています。しかもオクターブキーは左手の親指1箇所で2つを自動的に使い分けています。
※厳密には倍音の特性などでオクターブを出しています。
しかしオクターブの D E F とかは 下のホール位置で余裕余裕!!ですが
ホールの変わり目である G G# A あたりはちょっと無理した位置となります。
ですから不用意に吹くと ガラガラガラガラ というような混ざった音(重音)になったり
空気が漏れたような音がしてしまいます。
この機構があることで、サックスの運指はオクターブ下と上でも基本的に同じ指使い+オクターブキーで出せる素晴らしい発明なのです。
ではどうすればいいか ですが、笛と違うところはサックスにはマウスピースが
有り、リードがついています、そこを吹くと発音源である音が発生します。その音も口の弛緩・緊張により周波数は変化します。
このことを利用してうまくノイズの出ない発音(締め具合)を探します。ですからロングトーンでの練習が最も効果的です。
たしかにこの辺りの音がノイズィーになりやすいのは、まだヌケテいない新品の楽器やマウスピースとリードのセッティングなどにも要因はありますが、99%アンブッシャと息の出し方で回避できると思います。
根気のいる練習かとおもいますが、頑張ってください。わたしも昔テナーを初めて吹いたときに、上のソ#がガラガラしかならなくて泣きそうになりましたww
近くの先輩サックス奏者にあなたの楽器を吹いてもらって「ほらっ、あなたはガラガラなるけど、私が吹くと大丈夫でしょ~」と、楽器のせいちゃうんか・・と自身が納得してから練習したほうが精神的にもいいかもですねぇ。